LEAN IN、女性の力と思い込み

2015年   冬 

 

- 常識とは、18歳までに身に付けた偏見のコレクションである。

 

- アインシュタイン

 

 

何かを決断する時、自分の生い立ちや周囲から影響を受けていることは容易に想像がつくのではないかと思う。では具体的にどういった影響を受けているか考えたことがあるだろうか。

 

以前の私の実体験。

 

仕事で朝30分以内に5人営業の15件程度の案件のチェックしなければならない時期があった。この時キャンペーン中の商品があったためで通常の3倍程度の業務量。とてもあわただしく働き、それは部署内では周知のことだった。

 

そんな時期のとある日、この時間帯に来客があった。普段は当時勤続2年目になったばかりの私がお茶を出す役割を担っていたが、この時は多忙を極めたため、春に入ってきたばかりの後輩にお茶出しをできないか頼んだ。彼は快く承諾してくれた。

 

が、それを見た女性の先輩が私のところへもの凄い剣幕でやってきて

「何を考えてるの!?あなたがお茶を出しにかないと行けないでしょ。」

と言い放った。

 

慌てて私が「今は急ぎで本部へ送らないといけない書類があるので、 今だけ頼みたいのですが。。。」と弁明すると「そんなことは分かってるわよ。あなたが早く終わらせればいい話でしょ。A君に行かせる訳に行かないでしょ。」と怒られた。

あまりに怒りようだったので「申し訳ありません。A君が何か急ぎの仕事をしているとは思わなかったので。」と謝罪した。

 

するとその女性の先輩は「A君に急ぎの仕事なんてないわよ。」という。私の「ではなぜ?」という心の声が顔全面に出ていたのだろう。先輩が補足する。「女性がお茶を出さなければいけないって言ってるの。男性にお茶を出されたことなんてある?と。。。

 

私は文字通り、空いた口がふさがらなかった。逆に周りにお茶を出してくれる男性もいないのか、と。

 

つまり、こういうこと。

私(女性)は多忙のため、入社したての後輩(男性)にその時だけお茶出しを頼んだが、それは先輩(年上の女性)はお茶出しは女性の仕事だと考えていたため、私はお咎めれた。

 

私にとっての「常識」で考えれば先輩の発言・思考はセクシャルハラスメントです。そもそも私と男性の後輩は同じ立場で採用されているのだから。しかし、先輩の立場からみれば「非常識」な行いだったのだろう。

 

正直、そんな押しつけは勘弁して欲しいと思ったが、恐らくこの先輩は「女性である」というだけで行動を決めたり、責任を感じることが多いのではないかと推察する。もしかすると、同じ理由で自分の行動を制限しているかもしれない。

 

何が常識なのかは読者の判断に委ねるが、自分の正しいと思うこと、やってみたいということに対して頭の中でリミット設け、挑戦しない理由を作っているのだとしたら、「もったいない」ことではないだろうか。

 

世界を牽引する女性のリーダー、シェリル・サンドバーグが書き綴った「LEAN IN」はとても読みやすい。彼女の実体験をはじめ、バイアスを薄れさせるのに効果的な実践方法まで記してある。

 

 

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著者はFacebook最高執行責任者で、以前はGoogleのグローバル・オンライン・セールス・アンド・オペレーションズの副社長、アメリカ合衆国財務長官のもとで職員のチーフを務めた人物。2012年にはタイム誌が選ぶその年世界で最も有力な100人のリストである「タイム100」に名を連た。

 

彼女の指摘によると、女性は慎ましやかになるように教育されているため、男性と同じように言動を起こそうものなら、同性である女性からですら非難にあうことがあるとのこと。先に挙げた私の実体験にも、たしかに、と納得できる。

 

残念ながら同じ原因で「女性の社会進出」後進国の日本をはじめとする世界各国で女性のエンパワーメントがいまだに叫ばれる。

 

「今の社会は男性向きに作られている」という指摘もある。

 

例えば、子供がいる場合、女性に限らず子供の側にできる限りいたいと思うのではなかろうか。その子が母親に寄り添って育てられていたら、仕事で子供の側に居られない時、罪悪感を覚えるかもしれない。この本は「そう決めつけなくても良いよ」と背中を押してくれる一冊だ。

 

 

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