秘苑を多くの王たちが愛して ~昌徳宮 パート3~

 

If you have a garden and a library, you have everything you need.

 

 

                                                                                               -Marcus Tullius Cicero

 

 

庭と書籍があるなら、必要なのものは全て揃った

 

          

                        ーマルカス・トゥリウス・シセロ

 

 

 

 

前回紹介した昌徳宮

 

 

 

その秘苑(後苑)を紹介します。


 この後苑はツアーでしか訪れることはできません。

ツアーはチケットの料金に含まれています。詳細は別の記事で確認ください。

 

 

 

 豊かな自然をそのまま生かして造った美しい宮殿の庭園、後苑(フウォン)では四季折々の姿を堪能できます。全ての谷に庭園を造り、池を設け、玉流川の周辺には東屋が建っていて、自然の美しさを引き立てます。

 

 

 

 

 演慶堂(ウォンギョンダン)はアンチェ(女性)とサランチェ(男性の空間)が別に造られており、宮殿の建物でありながら丹青(彩色)が施されていない素朴な見た目をしています。後苑は王と王室家族の休息のための空間でしたが、王が主管する野外行事もここで開かれました。朝鮮初期には王が参観する軍事訓練も時折行われ、弓術大会や母后、王族または臣下の為の宴会も開催されました。

  

 また、王はこの後苑で自ら種をまき、農作物を育てることで農業の大変さを体験し、一方の王妃は自ら蚕を飼うことで養蚕を奨励しました。

 

 後苑は昌徳宮の60%を占めるほど広く、朝鮮時代にはトラが飼われ、うっそうとし木々の生い茂る森でした。さらに谷間には絶景が隠れていて一見できないため、歩いて谷間の池や東屋を訪れるしかないのです。これによりその美しさを一層実感できる造りになっています。

 

 

 

 

 ここをツアーで移動する中で気づいたことがありました。それは、建物の前ではよく、切り出したり、人工的に手を加えていない大きな石が綺麗に加工された石の台の上に乗せられていました。これが気になって、ガイドの方に石には意味があるのかと質問しました。これに対してガイドの人は答えてくれました。「これは西欧でいう銅像の飾りのようなものです。しかし、意味は異なります。下の石の台は人が作り出したもの、上の石は自然のもの。つまり、自然が上、人間は下といった意味合いがあるのです。」。これを聞いて私は嬉しくなりました。昔そこにいた人々がとても自然を愛していたことを知れたからです。これは日本人にも共感があるのではないでしょうか。